風邪をひいた時に、風邪薬を飲むと、かえって治りが遅くなる……という話を聞いたことありませんか?
咳、鼻水、発熱といった症状は、体の防御反応なので、それを無理に抑え込むと、余計に悪化してしまうことがあるのです。
実は、「失恋」もこれとまったく同じで、“悲しみ”を抑え込んでしまうと、かえって立ち直りが遅くなります。
失恋から癒されるためには、“十分に悲しむプロセス”が不可欠な理由
について解説します。
目次
失恋が癒される3ステップとは?
というよくあるアドバイスは、半分正解で、半分間違いと言っていいでしょう。
もちろん、放っておいても、人間の脳は、自動的に立ち直ろうとしてくれます。
しかし、「心の傷」を治すのも、「体の傷」を治すのと同じように正しい処置が必要です。
「体」に傷を負った時には、
①病院に行く
②手当をしてもらう
③治癒を待つ
という3ステップが必要なように、
「心」に傷を負った(失恋をした時)時には、
①人に話す
②悲しみに浸る
③癒えるのを待つ
という3ステップが必要です。
この3ステップについて、一つひとつ解説してみましょう。
【ステップ①】人に話す
「体」に傷を負ったら、然るべき人に見せる(診せる)ように、
「心」に傷を負ったら、その痛みを隠したり、誤魔化そうとしたりしてはいけません。
その苦しみを理解してくれる人たちと会ったり、話し合ったりする必要があります。
心に傷を負った時には、他人の言葉を受け入れやすくなっているので、占いやカウンセリングなど、有料の相談サービスを利用してもいいでしょう。
【ステップ②】悲しみに浸る
「体」の傷なら、多少、さらなる痛みが伴うことを覚悟して、消毒したり、傷口を縫い合わせたりする必要があります。
これは言わば、壊れた組織をセットし直す作業です。
「心」の傷も、砕けた状態から元通りなるようにセットしなさなくてはいけません。
それは、具体的には、
・愛し、愛された日々を思い出すこと
・幸せだった過去に感謝すること
・過ちを許すこと
です。
フられたり、裏切られた相手には、怒りのあまり、悲しみさえ感じないかも知れませんが、少し冷静になり、相手を許せば、悲しみに浸ることができるようになります。
→失恋後、他の人を好きになれない人の心理
【ステップ③】癒えるのを持つ
「体」の場合でも、「心」の場合でも、あとは待つだけです。
しかし、完全に元通りに治るまで、しっかり見守るようにしましょう。
傷がすっかり癒されるまでは、新しい付き合いは控えるべきです。
そうでないと、相手からの愛を、素直に受け取れなくなってしまいます。
なぜなら、
あなたの理性(頭)が、悲しみに浸ることを邪魔するのです。
どういうことかと言うと、例えば、
『心』が、
ああ、みっともない。
私にもっと魅力があれば、こんなことにはならなかったのになぁ……
と思ったら、
すかさず『頭』が、
そんなふうに思っちゃダメ!
自分で自分を嫌いになったら、おしまいよ!
と、自分を鼓舞してしまうのです。
普通に考えれば、自分を鼓舞することは、“いいこと”です。
しかし、マイナスの感情がやってくるたびに、それを跳ね返してしまうと、一時的には安らぎが得られても、苦しみから完全に解放されることはありません。
むしろ、
もがけばもがくほど、そうした感情にとらわれて、余計に闇の奥へと引きずり込まれてしまいます。
その果てに、『頭』は、
愛を失うのは辛い!
この辛さから身を守るために、もう愛を信じたり、愛を求めたりするのはやめよう!
このように、
『頭』は、苦しい感情が反復されることで、癒しのプロセスが進むことが分かっていません。
ですから、失恋の痛手から立ち直るためには、理性を先走らせて、無理やり、先に進む準備を整えようとしてはいけません。
一見、遠回りのようにも思えますが、
十分に時間を取り、『心』に沸き起こるマイナスの感情に素直に浸ることこそ、失恋の痛手からスムーズに立ち直る唯一の方法なのです。
心のスピードは頭のスピードよりずっと遅い
スポーツの試合などでは、
「ミスした後の切り替えが大事」
とよく言われます。
訓練されたアスリートなら、ミスしても、すぐに『頭』を切り替えて、その後の試合展開に悪い影響を及ぼさないようにすることができます。
このように、『頭』のスピードは速いのです。
一方、
『心』の働きは、ゆっくりです。
だからこそ、押し留めて、封印することだってできます。
でも、それも、その時だけの話。
一流のアスリートは、必ず試合後にミスを思い出し、分析し、そして、死ぬほど悔しがります。
『心』の働きは、ゆっくりなだけで、むしろ、『頭』より力強いと言っていいでしょう。
失恋をした時、私たちは皆、その苦しさ・悲しみから何とか逃れようとします。
しかし、
そうした苦しさ・悲しみから逃げるのが早過ぎると、癒しのプロセスが順調にいかず、かえって傷は治りにくい
ということを、ぜひ覚えておいてください。