占い師とは、あなたが困った時にランプをこすれば出てくる魔人ではありません。
あなたと同じ人間であり、占い業という“サービス業従事者”です。
そこもきちんと認識しておかなければ、やはり、利用の際、冷静さを失ってしまいかねません。
ここでは、かつて占い事務所に勤めていた私が、
占いビジネスの仕組み
について簡単に解説します。
目次
占いビジネスの「3つの方向性」
占い師を目指し、独学なり、通信教育なり、占い学校なり、師匠に附(つ)いて勉強した後は、いよいよ、占いビジネスをスタートさせるわけですが、
占いをビジネスとして成立させるには、以下に挙げる、3つの方向性があります。
(どれか 1つを選ぶのではなく、複合的に行う場合も多いです。)
3つめに挙げたものは、実際に、人を相手にして、地道に占いを行っていくもので、これを「実占(じっせん)」と言います。
その中でも、街角やショッピングモールの一角などで、小さな机を出して、行っているのは、「街占(がいせん)」と言い、必ず対面鑑定となります。
一方、「宅占(たくせん)」は、電話などを使って間接的に占う場合が多いですが、事務所や自宅に、相談者を呼んで行う場合は、対面鑑定となります。
以上のことをシンプルにまとめると、こうなります。
- タレント業
- 占いを教える・広める側
- 個人鑑定(実占)➡︎公共の場で行う「街占」 or 特定の部屋で行う「宅占」
「電話鑑定」と「対面鑑定」の違い
ここで、同じ実占の「宅占」に分類される「電話鑑定」と「対面鑑定」の違いについて、少し触れておきましょう。
かつて私が務めていた占い事務所は、電話鑑定と対面鑑定の両方を行っていました。
そこへ所属しているのは、電話鑑定のみを行う占い師がほとんどだったのですが、電話と対面の両方をこなしている人に、私はある時、
と尋ねてみました。
すると、
という返事が返ってきました。
その占い師の方曰く、霊視をするにしても、“声の波動”というものは、電話を通じて十分伝わるそうです。
要するに、電話と対面で、鑑定のクオリティに差は生じないということでした。
(むしろ、声には人格が出るので、電話のほうが人間の波長が分かりやすい面もあるそうです。)
ちなみに、私がこの事務所を辞めようと考え出した時も、すぐにその方に、見破られましたね……。(笑)
実際に、電話と対面の両方を行っていたその事務所で働いていたスタッフ目線から、もう少し付け加えると、
対面だと、
というお客さんが多かったので、私たちスタッフは、日々、お客さんが通る動線や、その準備に気を遣っていました。
その点、電話占いだと、最初から最後まで占い師と一対一であることは、とても大きなメリットであると言えます。
また、もちろん、占い師側からすると、占いのお仕事はやはり待機時間が多いですから、自宅で待機できたほうが効率的な面もあります。
総じて、電話占い(電話鑑定)は、相談者側と占い師側、双方にメリットが多い占い方法と言えるのではないでしょうか?
ポイントをまとめると、以下のようになります。
- 電話であろうと対面であろうと、占い師は波動をちゃんと受け取れる
- 占いでは何より「一対一」の環境が大事。電話占いだとその環境が作りやすい
- 相談者側と占い師側が同じ場所に集まる必要がないので、互いの都合に合わせやすい
電話占いは“組織”で集客を行うのが一般的
さて、もう一度、占いビジネスの話に戻ります。
同じ実占でも、「街占」と「宅占」では、一般的に「宅占」のほうが料金は高く設定されていることが多いです。
「宅占」は基本、占い場所を用意しなくてはならないので、高くなるのは当然と言えますが、「電話占いの宅占」でも高くなるのはなぜでしょうか?
それを説明をするには、電話占いの仕組みについて考える必要があります。
近年の電話占いは、各占い師が特定の団体(事務所)に所属して、皆で協力しあって信頼度を高めています。
占い師本人の知名度があれば、一個人で集客できるのですが、それが叶わないため、
宣伝や集客を、他者に任せて効率的に行なう
という手法を取っており、利用者側からすると、どうしてもそのぶんが料金に上乗せされてしまうのです。
もちろん、利用者側のメリットもあります。
それは、事務所がお金やシステムの管理を一括して行うため、料金の支払いがスムーズになるという点です。
占いは、“物”の受け渡しを行うわけではないので、ともすれば、金銭トラブルにもなりかねません。
このように、料金の支払いがスムーズに行えるという点は、何にも替えがたいメリットと言えるでしょう。
(なお、相談者が支払った料金の半分ほどが、占い師本人が受け取る額と考えてよいと思います。)
(おまけ)ホントはみんな独立したい?!
最後に、余談ですが、私が務めていた占い事務所は、テレビにもよく出ていた、某有名占い師さんが立ち上げたもので、その名前・知名度で集客しつつ、他、10名近くの占い師さんを在籍させ、「電話占い」をメインとして稼働していました。
その中でも、お客さんを多く獲得する人気占い師さんは、“独立”の野望を強く持っていました。
占い師というと、世俗を離れた職業というイメージがありますが、占い師ご本人にとっては、生活の糧である以上、そのように、「一国一城の主になりたい!」と考える人も、少なくないのが現実です。
自分がお世話になっている占い師のことを、やれメンターだ、カリスマだと持ち上げ、「自分の頭で考え、判断すること」を放棄してしまいがちな人もいますが、この記事でお伝えしてきたように、
電話占いをはじめとする「占い」は、あくまでも“ビジネス”としても行われており、“サービス業”である
と、しっかり認識しておくことは、利用者側にとっても、非常に大切なことです。
(さらにおまけ)有料な時点で当たらない?!
スリランカ上座仏教の、スマナサーラ長老などは、
占いは、お金を取ろうとした時点で当たらない。
と断言されています。
これはもう、占いビジネスの全否定です。(笑)
ただ、確かに、考え方としては分かる気がします。
例えば、自分が占い師だとして、無料で占う時と、有料で占う時、内容は変わらないと言い切れるでしょうか?
料金として1000円もらう時と、100万円もらう時、内容は変わらないと言い切れるでしょうか?
ですが、現代日本では、誰にも相談できない時、占いを利用するという“文化”があります。(いいか悪いか抜きにして。)
そんな時は、占ってもらえばいいのです。相談すればいいのです。
まったく縁もゆかりもない人であれば、お金を払うことも仕方ないでしょう。
ただ、当たるか・当たらないかだけに、フォーカスしないことが大切です。
何なら、当たらなくったっていいのです。
占いなんてこんなもんか。これからは自分の頭で考えて生きていこう!
と思えたなら、それでいいのです。
それで、あなたが元気になれたなら。
あなたが元気になることだけが大切なのですから……。