多くの現代女性が抱えている悩みのひとつに、不倫に関する問題があります。
ここでは、
- 不倫はなぜ悪いこととされているのか?
- 人はなぜ不倫に走ってしまうのか?
- 不倫を終わらせるにはどうしたらいいのか?
について解説していきます。
目次
不倫はなぜ悪いこととされているのか?
浮気はOK、不倫はダメ??
「浮気」と「不倫」は、似て非なるものです。
どちらも「パートナーがいながら他の異性に惹かれる」という意味では同じですが、後者の「不倫」は、片方もしくは双方が婚姻関係にある場合のみに使う言葉です。
誰にでも、自分にとって、よりよい相手を求める権利があります。
ですから、結婚していない状態であれば、もしかしたら「浮気」は許されることなのかも知れません。
では、「不倫」の場合は、どうでしょう?
結婚とは、“ひとつのゴール”と認識されることが多いです。
ですから、「“ゴール”したのに、なぜ他の異性に惹かれてるの?」という風に、「不倫」は単なる「浮気」よりも強い“社会悪”と認識されています。
しかしながら、恋が心に潤いをもたらすならば、結婚後もそのような刺激を求める気持ちは、誰にだってあるでしょう。
……果たして、不倫は本当に“悪”なのでしょうか?
現代において不倫は“悪”ではない?
不倫が悪とされるのは、実は、日本の歴史的背景に根拠があります。
日本には、第二次世界大戦が終わるまで、「姦通(かんつう)罪」がありました。
これは、「配偶者のある人が、配偶者以外の人間と性的関係に陥る罪」で、夫のいる女性と、その女性と関係を持った男性に適用される罪でした。
当時の日本は、家父長制が強く、男は妻の面倒を最後までみる義務があったのです。
その妻が、他の人間と性的関係に陥る、つまり不倫をすると、男への裏切りに当たりますし、その妻と関係を持った別の男は、男の“財産”を侵害したということになるわけです。
このように、この法律は、ある意味、「女が男の所有物である」という考え方を前提としているところがあります。
そういった意味では、女性自身が働いて生活の基盤を得ることが容易になった現代では、「不倫は悪である」という価値観は馴染まないのかも知れません。
とは言え、「結婚は生活のためである」という認識を真っ向から否定する人も、ほとんどいません。(ここも押さえておきましょう。)
実は、結婚に“愛情”が関係するようになったのは、日本にキリスト教的な「愛」という概念が入ってきてからのことです。
事実、愛情がなくても結婚はできますし、むしろ、近代以前はそれが普通だったのです。
ですから、自分のパートナーが好きではないから、もしくは、愛情がないから不倫してしまう、というのは、論理が通らないと言えなくもないのです。
結局、不倫は悪なのか、さほど悪でもないのか?
ここまでの流れを踏まえると、このようなことが言えるでしょう。
と。
しっかりとした規制の基準はないものの、何となく皆が抱いている価値観から外れている人を見たりすると、そういった人たちを、それぞれが、“個人の判断”で非難するのです。
そして、「不倫を悪」としているのです。
少しややこしいですが、大事なところなので、改めてまとめ直してみましょう。
と、このように本当に難しい問題です……。
人が他人の不倫を非難する理由
ここで、「なぜ人は不倫する人を非難するのか?」にも触れておきましょう。
前述したように、「不倫」という概念は、「結婚」という概念がないと、成立しません。
結婚は、「相手のセックスに関する管理権」を持つことにつながります。
「自分の身体の性的使用権を生涯にわたってただ一人の異性に譲渡する契約」と言ってもいいでしょう。
しかし、本当にいい関係を持っている夫婦が、いったいどれくらいいるのでしょうか?
人が他人の不倫を非難するのは、ズバリ、羨ましいからです。
「自分がこんなに我慢しているのに、自由に他の異性とセックスするなんて!」という思いがあるのです。
ですが、男女関係において、互いのセックスを管理しあっても、自分が我慢していれば、相手も必ず我慢してくれる、とは限りません。
その“権利”と“義務”の関係には、実際、何の保証もないのが現実です……。
人はなぜ不倫に走ってしまうのか?
不倫するのは欲望のため?愛のため?
そもそも、人はなぜ不倫に走るのでしょう。
この問いに対し、多くの人は、「欲望のため」、「愛のため」などと答えるでしょう。
そこに、心理学的考察を加え、より詳細に挙げると、以下のようになります。
・配偶者の関心を引きたい
・配偶者から自由になりたい、独立したい
・家庭の外で欲望を満たし、結婚生活を改善したい
・自分の“性”を強く感じたい
・魅力的だと思われたい、理解されたい
・ドラマや刺激、危険がたまらない
・コミュニケーションが欲しい、親密さが欲しい
・まだ若いことを証明したい
・最後のチャンスを逃したくない
・性的な問題を解決したい
・ナルシストで、華やかさを保持するために複数の恋人が必要
・三角関係の綱引きが好き
・秘密が好き
・“完全な”愛を見つけたい
・浮気が見つかり、それで結婚生活が修復できることを期待している
他にも不倫には、たくさんの心理的、かつ社会的要素が絡んでいます。
・金銭的な自立の具合
・結婚前の性的な経験
・各家庭環境で育まれた価値観
なども、その人が不倫に走ってしまうかどうかに影響するでしょう。
これらすべてを考慮すると、一般論として話を進めにくくなってしまうので、ここから先は、人としての本能や、遺伝子的側面から、不倫に走る理由を見ていきたいと思います。
浮気は動物の本能?
では改めて、人はなぜ不倫に走るのかについて、今度は、「動物行動学」の面から見ていきましょう。
まず、「女性」です。
メスは、今つがっている相手より、質のいい相手がいれば、その遺伝子を取り入れたいと思うものです。
しかし、メスは、妊娠、出産、子育てに年単位の日数がかかるため、軽率に相手を選ぶことができません。
たとえ、浮気であろうと、不倫であろうと(自分や相手が結婚をしていようと)、今の相手より質のいい遺伝子が欲しいと思うのが本能なのです。
ちなみに、女性の浮気率は、10代後半、20代前半、20代後半と少しずつ減っていき、4%まで落ち込んでいくのですが、30代になると急に8%まで上がり、40代になるとさらに上がって2桁まで突入するのだそうです。
この理由としては、女性は、40代を迎えるあたりで女性ホルモンが激減し、相対的に、性欲をつかさどる男性ホルモン(テストステロン)が優位になるからであると言われています。
次に、「男性」です。ここは手短に。
動物の世界において、オスは、常に交尾の機会を狙っています。
さらに女性と違って、オスは射精しても比較的早く精子が回復するため、ダメ元で数を撃って、チャンスを追求したいと考える基本的性質があります。
……つまり、女性、男性ともに、動物行動学的には、「浮気は本能である」ということですね。
なお、動物行動学でいうと、鳥はほとんど浮気をしないとされています。
鳥の特徴は、90%以上が一夫一婦の夫婦関係をとり、巣作りも餌取りも、夫婦で力を合わせて行うことです。
やはり動物は、常に一緒にいないと、浮気をしやすくなってしまうようです。
不倫しやすい人とは?
続いて、不倫という行為を「恋愛心理学」の側面から見ていきましょう。
恋愛心理学には、「SVR理論」というものがあります。
これは、社会心理学者・マースタインが提唱した理論で、結婚相手としての異性を決めるプロセスを、以下の3つのステージに分けたものです。
①「S」 (Stimulus、スティミュラス) |
出会いから恋愛初期の段階。 ここでは相手の外見、声、性格や社会評価などからの“刺激”が重視される |
②「V」 (Value、バリュー) |
恋愛関係にあるステージ。 ここでは趣味や価値観の共有が重視される |
③「R」 (Role、ロウル) |
結婚や共同生活を始めるステージ。 ここではお互いの役割を理解し、補完し合う関係であることが重視される |
恋愛というのは、このように推移していくことから免れません。
不倫しやすい人というのは、このSVR理論でいうと、永遠に ①「S」の段階、つまり、恋愛に刺激を求め続ける人であると言えます。
以上のように、「動物行動学」、「恋愛心理学」の両面から不倫を見ていくと、人間が「配偶者以外の異性に対して愛情を抱くこと」に対しても、何となく納得感(?)が出てくるのではないでしょうか?
不倫はけっして、生き物として“ありえない”ことではないのです……。
快楽を求める気持ちに罪はない
不倫には当然、“快楽としてのセックス”を求める気持ちも働いています。
アメリカのある大学がおこなった調査では、「過去12ヶ月以上セックスをしていないグループ」より、「1ヶ月に1回以上セックスをしているグループ」のほうが、人生全般に対して、「幸福である」と回答した割合が高かったことが報告されています。(ちなみにこの調査は、65歳以上の既婚者に対して行われたものです。)
年齢問わず、セックスが日常生活に張りを与え、心の満足度を高めるということは、間違いないようです。
また、女性の場合、「不倫のセックスで初めて快感を得た」という人も少なくないようです。
特に、20代で同世代の男性と結婚した場合には、自分の性欲をきちんと意識しないうちに、最盛期の男性の性欲に付き合わされたことになりますから、無理もありません。
快感を覚えると、脳からオキシトシンなどの愛情ホルモンが出ますから、ますます不倫相手のことを好きになります。
40代になって「不倫で初めて快感を得た」という女性が多く、なおかつ、相手との体の相性も良いと、その愛情は途切れず、関係が長続きする(してしまう)可能性は高いでしょう。
不倫を終わらせるにはどうしたらいいのか?
人はなぜ結婚というシステムをつくったか?
さて、いよいよここからは、「不倫をどうしたら終わらせられるか?」というところに入っていきたいと思います。
ここまで、おおよそ、「人間の本能の面からすれば、不倫をしてしまうのは無理もない」といったことを述べてきましたが、遠く太古の時代、「結婚」というシステムがなかった時代もあるわけです。
なのに人間はなぜ、わざわざ「結婚」というシステムを作ったのでしょうか?
結論から言うとそれは、人間は安定した生活を送ったほうが、地域も国も栄えていくということが分かってしまったからです。
そのため、一夫一婦制(国によっては一夫多妻制)というシステムをつくって、秩序を保つようになったのです。
本能の意思を汲み取ると、人間が生きる目的は、遺伝子を残すことです。
ですが、人間はこれまでの歴史の中で、不倫によって、遺伝子をあちこちにばらまくより、「この人!」と決めた相手と寄り添ったほうが、きちんと遺伝子を残せる確率が高いことを悟ったのです。
だから、「結婚」というシステムをつくったのです。
本能の観点から、浮気や不倫を肯定することもできますが、子孫繁栄のために結婚というシステムをつくったのは人間自身である、ということを忘れてはいけないでしょう。
不倫をやめるには?
不倫を、純然たる恋愛と考えれば、結婚のように“重い責任”からは逃れられます。
要するに、「最終的なパートナーとして選ばれないのは当然」という安心感から、なかなか不倫から抜け出すことができないという事態が生じるのです。(そこに快楽が加われば、なおさらです。)
また、脳科学でいう「ロミオとジュリエット効果」のように、周囲に反対されればされるほど、後ろめたい気持ちを持てば持つほど、ますます、その相手を好きになってしまうということもあります。
周囲からのプレッシャーや、自分が感じるドキドキを、「相手が魅力的だから」というふうに、脳は勝手にラベルづけしてしまうのです。
ですが、裏を返せば、そのドキドキによって、不倫をしている人は、いつまでも経っても「落ち着き」が得られません。
哺乳類が、ある時、急に子供を巣から追い出すように、恋愛感情というのは、急に冷める時がやってきます。
(例えば、哺乳類の親にとって、自分の子供は大きくなると、餌を取り合うライバルにもなりかねないので、あるタイミングで自立させるよう突き放すようなプログラムが組まれています。)
さらに言えば、人間の「絶対的愛情」というものは、基本的に、自分の子供へ向かうものです。
異性への愛情は、「安定した環境で子孫を残すための結婚」へ進む過程では、多少、役に立つものですが、脳科学的には、「恋愛感情は脳のバグである」とも言われています。
ですから、もしあなたが、不倫をやめたいけれどやめられなくて悩んでいるのであれば、以下の3点を念頭に置いてみるべきでしょう。
- その恋愛感情は、脳が勝手につくっている
- その恋愛感情は、いつか急に冷める時がくる
- “絶対的愛情”とは、“子供に対しての愛情”のみ
これらを意識すると、何となく自分の冷静さが呼び戻される感覚になるのではないでしょうか?
不倫を終わらせたい人へ贈る言葉
ここまで、いろんな理屈をこねてきましたが(笑)、やはり「不倫」は、人間にとって、一筋縄ではいかない、非常に奥の深い問題です。
最後は理屈ではなく、シンプルな言葉を贈って締めくくることにします。
まずは、女性へ。
次に男性へ。
今すぐ相手を解放してあげましょう。
相手はあなたのことをやさしいと思っていますが、そのやさしさは、「君とは結婚できないのに、嘘ついてごめんね、ただ、ヤリたいだけなんだ」という後ろめたさからきているだけではありませんか?
か弱い相手をいつまでも自分の欲求のはけ口として、犠牲にするのはやめましょう。
相手の女性の将来を大切に考えてあげましょう。
悩むのが嫌なら、悩むようなことをしないのが一番。
気分転換に、何か新しいことを始めてみましょう!