そもそも人の感情とは、常にいろんなものが入り混ざっているものです。
感謝の中にはどこか恨みもあったり、喜びの中にはどこか虚しさがあったり、悲しみの中にはどこか怒りがあったり……といったように。
興味深いのは、同じような出来事であっても、人によって生じる感情が全く異なることがある、ということです。
その代表的なものが、失恋でしょう。
ここでは、
失恋して「怒りが湧く人」と「悲しみに暮れる人」の違い
そしてこれらの対処法について解説します。
失恋して怒りが湧く人はナルシスト
失恋と聞くと、まず思い出すのは一般的に「悲しみ」の感情でしょう。
しかし、経験のある方も多いと思いますが、失恋して「怒り」がとめどなく湧いてくる場合があります。
結論から先に言えば、失恋して「怒り」や「悔しさ」の感情に染まる人は、“自惚れ(自己愛)の強い人”です。
ナルシストと言ってもいいでしょう。
本来、本当に相手を愛していたら、ただ悲しいだけなのです。
怒りが湧くということは、要するに、
ということで、もっと言えば、
ということです。
「愛が得られなかった」というよりも、「評価が得られなかった」ということに気持ちが集中しており、そこには「自分は評価されるべき」という思い上がりがあるのです。
このような人は、恋愛だけでなく、人生や世間に対して、“敵意”を持っています。
それは大小さまざまな欲求不満であり、もっと踏み込んで言えば、“深刻な劣等感”です。
こう言うと、自惚れが強いのにどうして劣等感を持っているということになるのか不思議に思う人もいるかも知れません。
ですが、元来、行き過ぎた自己愛とは、強い劣等感をはね除けようとして身につけるものです。
つまり、失恋して「怒り」が湧く人の恋愛は、もともと純粋な恋愛ではなく、単なる“コンプレックス解消ごっこ”だったわけです……。
失恋してずっと悲しみに暮れる人は正常
一方、失恋してずっと「悲しみに暮れる」のは正常な反応です。
ですが、こうなってくると疑問に感じませんか?
怒りが湧く場合でも、悲しみに暮れる場合でも、辛いのは同じですが、そもそも、“失恋の辛さの正体”とはいったい何なのでしょうか?
これも結論から先に言えば、失恋が辛いのは、心が張り裂けそうな苦しみやその激しい感情を“最も大事な人”に共感してもらえないからです。
人は、共感してもらいたい生き物です。
共感し、共鳴し合うことこそ、恋愛の本質と言ってもでしょう。
しかし、その相手と別れたから失恋なのです。
当然、彼にその激しい感情を伝え、共感してもらうことなどできるわけありません。
そのように行き場のない気持ちを抱えているから、失恋は辛いのです……。
失恋しても焦る必要はありません
失恋すると、まるで、川の水がピシッと凍ったように、心が動かなくなってしまうことがあります。
何を見ても面白くない、何をしても楽しくない。
ただ、あの人に会いたい……。
そういう時には、心の支えが必要です。
分かりやすく言えば、それは、信じる人の存在です。
小さい頃、親や家族が自分のことを深く愛してくれた……そう信じられれば、その人には、心の支えがあるということ。
そういった信じられるものがなければ、心は崩れていってしまうでしょう。
では、それがない場合は立ち直れないのかというと、そんなことはありません。
凍った川は、無理に温めて溶かそうとしなくても、やがて春になれば、自然と溶けてきます。
要するに、時間が必ず解決してくれるということです。
もちろん、「早くこの気持ちから復活したい!」と焦る気持ちも分かります。
……でも、よく考えてみてください。
早く立ち直るのもよしあしです。
心が動かなくなってしまっても、心が崩れてしまっても、そのように深く悩んだだけ、あなたの人としての深さが増していくのです。
ですから、失恋した時にはゆっくり焦らず、信じる人の存在を励みにして、ただ時間が過ぎるのを待つのが得策。
もし、どうしても何か行動を起こしたいなら、
・美味しいものを食べる
・好きなことをやる
・環境を変える
・前からやりたかったことをやってみる
といったような、“自分の感情が動きそうなこと(凍った心が溶けそうなこと)”にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
……でも、別にそういう特別なことは、無理にしなくたって大丈夫です。
失恋は人生の次の時代への入り口
失恋して失意のどん底にいる人に対して効果的な言葉など、基本、ありません。
その人が自分の力で起き上がってくるのを、やさしく待ってあげることしかできません。
「失恋して怒りが湧いているようじゃダメですよ」とか、「時間が解決するので焦ってはダメですよ」ということもありません。
ただ、ある意味、“せっかく”失恋したのですから、この際、失恋しなければ考えもしなかったようなことを、ここぞとばかりにたくさん考えてみませんか?
それは例えば、
といったことをです。
まるで、小説の登場人物の気持ちに思いを巡らすように、自分のことを客観的に考えてみるのもいいでしょう。
人生は、先が長いです。
そしてその人生は、いくつもの時代に分かれています。
失恋といった大きな出来事は、言わば、人生の中にあるたくさんの時代の“ひとつの区切り”と言えるでしょう。
その区切りを通過したら、あなたはきっとひと回り成長し、“新しい希望に満ちた次の時代”へと突入していくことでしょう。
大丈夫です。
未来にはきっと、今のあなたが想像することもできないような、まっさらな希望があります。