多くの人は、「セックスレス」や「倦怠期」は、相手に性的魅力を感じなくなった、飽きてしまったなどの“性的倦怠”が原因だと思っていますが、実のところ、その原因は、“相手への怒り”にあります。
ここでは、
セックスレスや倦怠につながる“怒り”
について解説します。
目次
「内向する静かな怒り」がセックスレスへとつながる
まず、はじめに言っておきたいのは、
ここで言う“怒り”とは、目の前で起こっている事態に反応してカッとなるといった、いわゆる“癇癪”のことではありません。
また、たまに起こる些細な口論でも、予期せぬ大ゲンカでもなければ、ドアをバタンと閉めて出て行くとか、腹を立てて涙をボロボロこぼすとか、そんな罵り合いとかでもありません。
こういった類のことは、一方が相手を逆上させるような行動をとった時、多くの普通のカップルがよくやることです。
そして、このような怒りなら、むしろ、問題が表面化して、解決する方向へ動くこともあるでしょう。
ここで言う“怒り”とは、「内向する静かな怒り」のことです。
(外からでは、分からない怒りです。)
この「内向する静かな怒り」が、セックスレスへつながる場合、次のような特徴があります。
相手に知らせないだけではなく、意識レベルにおいては、そんな怒りが自分の中にあることにすら気づいていない。
あるいは、自分が怒っていることを認めない。
(例えば、絶えず、夫にバカにされ続けているある女性などが、自分の憤りを認めようとせず、「怒ってなんかいないわ、ただちょっと気に触るだけ」と言い続けているケースなどです。)
「内向する静かな怒り」とは、心の奥深くに潜んでいます。
そして、こうした怒りは、やさしさや欲望といった、あらゆる感情を排除します。
「セックスレス」や「倦怠期」の原因について、多くの人は、“性的魅力”を感じなくなった、飽きてしまった、などと言いがちです。
しかし、本当のところは、「内向する静かな怒り」を“怒り”と認めたくない人たちが、逃げるためにそう言っているだけなのです。
(余談)不倫に突き進む場合も
ちなみに、どちらかが口に出すのとは違った形で、怒りが表面化することもあります。
その中でも、
密かに腹を立てている夫や妻が、「性欲」を別の対象に向けてしまう
ということは、かなりよく見られる現象です。
不倫の引き金となったのが、“パートナーへの怒り”だということに気づかず、単に「新しい相手に恋をした」と思い込んでいるというのは、実は、よくあることなのです。
当然、自分の怒りを、承知の上で、不倫や浮気に走る人もいます。
このように、怒りは、放っておくと、第三者まで巻き込んでいく恐れがあります。
考えられる「怒り」の原因6つ
では、次に、
セックスレスにつながる“内向する静かな怒り”の
【原因】としては、どんなものがあるか、見ていきましょう。
①期待はずれ→「怒り」
結婚してみたら、考えていたのと違った、という人は大勢います。
例えば、結婚した時には、夫が仕事で成功すると思っていたとします。
ところが、10年経っても成功しそうにない、夫は2つの会社をクビになり、今の仕事でも出世の見込みはない、
となった時に、落胆している様子をおくびにも出さないあなたは、表面上は、絵に描いたような協力的な妻を装うのです。
でも、内心では、いつも家計を切り詰めなくてはならない、友達の夫はどんどん出世していくのに、自分の夫はうだつが上がらない、と怒りを感じているのです。
約束をしながら、それを果たしてくれない夫に、心底腹を立てているのです。
夫への落胆が深くなるにしたがって、性的関心も低下していきます。
しかし、この2つの因果関係に、本人は気付かないでしょう。
歳をとったから自然だと思うか、あるいは、育児に忙しくて疲れているせいだと思うかも知れません。
②おとぎ話を信じていてガッカリ→「怒り」
幼い頃に聞かされた、おとぎ話のせいで、「正しい相手に巡り会えさえすれば、あとは、めでたしめでたし」と信じ込まされている人たちがいます。
自分の中の情熱が冷めてくると、何かが間違っていると感じて、がっかりし、不安になってくるのは、ある意味、“自然な成り行き”だということが理解できないのです。
そういう人たちは、いざ問題が生じ、夢に描いていたより、ずっと多くの問題を抱えていることに気づくと、自分が“過ち”を犯したような気分になってしまいます。
そして、「あぁ、相手を間違えた。正しい相手を選んでれば、こんなことにならなかったのに……」などと思い始めるのです。
③心の中に相反する思いがある→「怒り」
相反する2つの感情があることで、問題が生じることがあります。
例えば、妻が夫に対して、「もっと、自分たち夫婦のことをコントロールして、受動的な態度を改めて欲しい」と思っていたとします。
けれど、心の奥底では、実はそう思っていなかったため、いざ夫が積極性を出してくると、妻は、嫌悪感を覚えました。
なぜなら、夫のその姿は、何でも支配したがる彼女の母親を思い出させていたのです。
このように、当然のことながら、あなたの心が、相反する2つのものを求めていたら、決して満足は得られません。
相手は相手で、どうやってもあなたを満足させられないため、路頭に迷ってしまうでしょう。
④満たされない欲求→「怒り」
パートナーに対して求めていることがあるのに、その欲求が満たされずにいると、怒りは高まります。
例えば、妻が自分の気持ちを伝えたくて、夫に話そうとするのに、夫のほうは聞こうとしなかったり、あるいは、夫は、気ままに暮らしたいと思っているのに、妻は、何でもキチンと予定を立てたがる、というようなケースです。
他にも、一方が、ベッド以外でも、キスしたり、愛情表現を示したいのに、片方が拒むという場合もあります。
精神的に求めるものが満たされないでいると、遅かれ早かれ、問題はベッドルームにも波及します。
精神的に“損”をしていると感じているパートナーが、セックスから遠ざかるようになってしまうのは、珍しいことではありません。
⑤ライバル意識→「怒り」
現代では、共働き夫婦の間に、ライバル意識が芽生えるのはよくあることです。
2人ともに野心があるのですから、一方が、自分より力を発揮すれば、やたらと気にしたり、不機嫌になったりするでしょう。
例えば、ある作家同士のカップルの場合、お互いとも下積みの頃は、すべてが円満でしたが、妻の小説が出版されたことで、状況が変わりました。
お祝いの電話や、インタビューの申し込みで、彼女が賞賛を浴びると、夫はどんどん惨めになりました。
彼女が成功していくうちに、セックスが減っていったのは、その妻にとっては、意外なことでした。
⑥価値観の違いが生まれた→「怒り」
年月とともに、夫婦の一方、あるいは両方の、外見や、人生の目標成熟度などは変わっていくもの。
その変化のペースが狂うと、2人の間に、幻滅や怒り疎外感といったものが生じます。
例えば、バーで出会ったあるカップルは結婚し、しばらくは、すべて順調に進みましたが、子供の誕生で、すべてが変わりました。
妻が、家事や子育てに喜びを感じ、外へ出たがらなくなったのです。
2人して何時間もバーで飲み続けていた生活は、もう昔の話。
子供の誕生で、妻だけが成長してしまったのです。
夫のほうは、相変わらず、楽しい毎日さえ送ればいいと思っていましたが、妻のほうは、もっと堅実な暮らしを求めるようになりました。
夫が、妻のそんな態度に文句を言い続け、妻は、次第に夫に腹を立てるようになりました。
そして、ある日、彼女は夫に対して、性的関心が全くなくなってしまったことを自覚するのです。
ところが、この妻は、自分がセックスに興味を感じなくなったのは、怒りと関係があるとは思っていません。
ただ、なぜだか分からないけど欲しくないだけだ、というふうに思っているのです。
平和主義者の怒りは、かえって長引いてしまう
怒りへの対処の仕方は、人それぞれです。
怒ることを楽しむ人だって、います。
怒りによって、力を感じることが出来るからです。
そのような人との生活は、いつも怒りに満ち溢れたものになるでしょう。
それとは正反対に、平和を愛する人もいます。
このような人は怒りを表すことを嫌い、怒りに対して人一倍不安を感じます。
争うことを忌み嫌い、できるだけ喧嘩しないようにするのです。
ところが、意外なことに、
平和主義者の怒りのほうが、
結果的には、大きくなってしまうことがあります。
なぜなら、彼らは、まったく怒らないというわけではありません。
怒りはするけど表面に出さない、あるいは、怒っていることを認めようとしないだけなのです。
ですから、いつまで経っても、相手が何に対して怒っているの分かりません。
自分ですら、その怒りの原因に気付いていない場合は、なおさらです。
結果的に、問題は長い間、未解決のまま放置され、セックスへの影響もそれだけ長引くことになるでしょう。
そうした点から言えば、本来、怒りというものは、静かに内向などさせず、表に向けて爆発させてしまうほうがよいのです。
怒っていることを認め、その原因が解決されるなら、結果的に怒りは、2人の絆を深めるための良薬となります。
不倫についても、セックスレスについても、倦怠期についても、本人も気付いていないような「静かに内向する怒り」を、まずは、突き止めてみることが肝心と言えるでしょう。
――どうしても自分のことを客観視できないという場合には、あなたの過去と未来を透視してくれる占い師さんの存在を頼りましょう。