占い師は確かに、あなたが持っていないワザを持っています。
あなたの知らなかったことや、思いもつかなかったことを教えてくれるでしょう。
しかしひたすら平伏していると、最大の目的であるはずの「あなた自身が幸せになること」をつい忘れてしまいがちになります。
占いを利用する際は、常に頭をクールに保たなくてはなりません。
そのためには一度、『占い師側の立場』に想いを巡らせてみるのも効果的でしょう。
というわけで、ここでは、
占い師にとってあるべき姿と持つべき心構え
について、占いのご利用をお考えの方々に向けて解説します。
相談者の心にいかに寄り添えるか?
安易な権威づけに利用されがちな霊能力
まずは、私自身の体験からお話ししたいと思います。
私はかつて、占い事務所に勤めていました。
そこの内部ルールでは、自分達が行っているサービスを「占い」とは呼ばず、常に「霊視鑑定」と呼んでいました。
具体的なサービス内容としては、「霊視による運勢・運命の鑑定、および人生相談」という感じです。
(霊視による、というのがポイントです。)
はじめのうちは、私が「占い」と口走ってしまうたびに、先輩から注意されたものです。
「占い」と言うと、やはり少なからず毛嫌いする人がいますし、若干安っぽく見えるということもあったのでしょう。
しかし私は、どちらかと言うと、今でもこの姿勢には反対です。
“霊”という利用者の目には見えないもので、安易に権威づけを図っているようにも見えるからです。
私は、霊能力とか、第六感というものは、どんな人にでも少なからずあるものだと思っています。
ですので、個人的には、「これは占いではありません、霊視なんです!」と、わざわざ強調するような姿勢は、むしろ誠実さに欠けるような気すらします。
霊視であれ、相談者の未来を占うために用いるのであれば、それは「占い」です。
事実、占い師さんの中には、強い霊能力を持っていても、それをあまりアピールしない占い師さんもいらっしゃいます。
以前知り合った占い師さんの中には、「(霊能力は)持ってるけど、ほとんど使うことはない」とおっしゃる方もいたくらいです。
そもそも占い師になるのに、霊能力や霊感の強さは重要ではありません。
相談者の心にいかに寄り添えるか?のほうが大切です。
占い師に最も大切なのは「心の勉強」
こう言っては何ですが、霊能力が強過ぎる(透視が出来過ぎる)のも、それはそれでまた厄介な問題を孕みます。
たとえば、相談者が試験に合格する未来が見えたとします。
そこで占い師が、「あなた受かりますよ」とだけ言えば、その相談者はホッと気を抜き、試験に向けて続けてきた努力をやめてしまう可能性もあります。
また、たとえば、相談者が何かに失敗する未来が見えたとします。
そこで占い師が、「ちょっとそれは無理みたいですね」とだけ言えば、そこでの努力が、相談者の“人としての成長”に大きな意味を持つとしても、それをやめてしまう可能性もあります。
かと言って、何でもかんでもポジティブな言葉を返してあげれば占い師が務まるといえば、そんなことはありません。
占い師が自分の人生経験だけに頼って相談に乗ると、安易で底の浅いアドバイスしかできないでしょう。
占い師が頼りにするべきは、霊能力でも、人生経験でもなく、「占いの原則」です。
それには当然、「心の勉強」も含まれています。
ちなみに、世間一般的に、占いの勉強をするには、
- 通信教育
- 占い学校へ通う
- 師匠へつく
といった手段があります。
ポイントは、「占い師になるために“霊能力”を鍛える学校」というのは存在しないということです。
心の勉強はそれぞれ、個人レベルで行います。
それは、霊能力があろうとなかろうと、占い師であろうとなかろうと、皆同じです。
相談者に幸せになってもらうのが「占い」
占い師の間には、「占い師に吉凶なし」という言葉が広く伝わっています。
これは、運勢を単純に「いい」、「悪い」で決めてかかることを戒め、「凶」の中から「吉」を発見したり、「吉」の中から「凶」を発見したりする冷静さを持つようにしましょう、という意味です。
占い師たるもの、当てることだけに神経を張り巡らせて、相談者に幸せになってもらうことを忘れてはいけないのです。
でもそれはそうですよね。
相談者としては何も、不幸な未来を当ててもらいたいわけでなく、どうすれば「幸せ」になれるかを聞きたいからこそ、相談を持ちかけたのです。
したがって、占い師に最も求められるのは、
と言えるでしょう。
「不幸な未来が見えたのでそれをすべて正確に教えました……」では、相談者はまったく幸せになれません。
私が実際に出会った素敵な占い師
最後に、ひとつ参考例として、私が実際に出会った、本当の意味で相談者に寄り添う姿勢を持っていた占い師さんの話をしましょう。
それは、かつて私が務めていた占い事務所の、ある一人の占い師さんで、その方はこんなことをおっしゃっていました。
私は、相談者さんに悪い霊がついていても、本人に言わないんです。
だって自分に見えないのに、そんなこと言われたって嫌でしょ?
だから私はそのことを、本人には教えずに、話をしている途中で取ってあげます。
……どうでしょうか?
もしかしたらこれこそ、占い師として真にあるべき姿なのではないでしょうか?
不幸な未来や事実が見えたら、ただそれを教えるのが、占い師の仕事ではないのです。
不幸をどう回避し、または乗り越え、どうやったら幸せになれるか?を相談者に寄り添って考えること、それも占い師として日々勉強することであり、日々の修行なのです。
それはもっとハッキリ言えば、本人にいい影響を及ぼさないのなら、あえてその内容を伝えないこともあるということです。
さらに余談を申せば、上で紹介した占い師さんは、あいにく、その事務所であまり人気のある占い師ではありませんでした。
そのせいか、周囲からは、
と揶揄されていたくらいです。
しかし、その事務所で、私がもっとも好きな占い師さんでした。
今、現在進行形で占いを利用されている方や、これから利用しようと思っている方は、ぜひこんなことも頭に入れていただけたらと思います。