人間関係における不快感の根元には、必ずと言っていいほど「嫉妬」が潜んでいます。
こう言うと、「え〜! あんな人のこと羨ましいはずなんかないでしょ!」と思う人もいるでしょう。
しかし、嫉妬とは不思議なもので、たとえ自分より立場が下の人に対しても、明らかに間違ったことをしている人に対しても、なぜか沸き起こってしまうものなのです。
というわけで、ここでは、
嫉妬との上手な付き合い方
をご紹介します。
目次
「嫉妬」と「憧れ」は完全に別物!
「嫉妬」とは何かを考える時、それと非常に似た感情である「憧れ」との違いを考えると、分かりやすいです。
あなたは「嫉妬」と「憧れ」の違い、ピンときますか?
それぞれの違いを見てみましょう。
憧れ | 自分が手を伸ばしても届かない人物の優位性を、素直に受け入れている状態。 |
嫉妬 | 自分が少し手を伸ばしたら届きそうな相手の優位性を、受け入れられずにいる状態。 |
人は、相手が完全に雲の上の人であれば、嫉妬などしません。
ですが、どこか張り合う気持ちを持っていると、嫉妬してしまうのですね。
たとえ、相手の立場が自分より下であっても、
と感じる気持ちは、「嫉妬」です。
また、ズルイことをしている人に対して、
と非難する気持ちも、「嫉妬」です。
どちらも“自分より自由に生きている人”に対して嫉妬しているのです。
世の中、嫉妬を感じる場面の何と多いことでしょう。
それだけ、嫉妬という感情は、とても身近な感情であると言えます。
もし、「私、人に嫉妬したことがないんです」なんて人がいたとすれば、それは単に自分の感情を隠しているだけです。
(まぁ、他人には隠したくなるというのも、嫉妬という感情の特徴ではありますが。)
では、そんな世の中のさまざまな嫉妬は、どうやって生まれているのでしょう?
他人に嫉妬させてしまう人がいるからでしょうか?
それとも、勝手に嫉妬する人がいるからでしょうか?
……率直に言って、これは両方です。
ですから、嫉妬という厄介な感情に心を乱されないためには、
- 他人から嫉妬されないこと
- 他人に嫉妬しないこと
の両方が必要です。
ではここからは改めて、他人から嫉妬されない方法と他人に嫉妬しない方法にを詳しく解説していきます。
他人から嫉妬されない方法
嫉妬されやすい人4タイプ
まずは、他人から嫉妬されない方法の基礎知識として、嫉妬されやすい人4タイプを見ていくことにしましょう。
① 正直過ぎる人、無自覚な人
嘘をつけない正直者、無自覚な人は、あった出来事をそのままストレートに話してしまいます。
ですから、その内容が、相手にとって望んでいることであったり、手に入れたいものであれば、なおさら嫉妬されることになります。
② 想像力が足りない人
「自分がこう言えば、相手はこう思うだろうな……」とか、「こんなことをすると、相手からはこう思われるだろうな……」といった想像力(客観的視点)が足りない人も、嫉妬される運命にあります。
③ 自慢せずにはいられない人
最近では、自分の優位性を誇示する「マウンティング」という言葉も一般的に使われるようになってきました。
心のどこかに、少しでも他者より優位に立ちたい、そういう気持ちがあるため、無意識なマウンティングが癖になってしまっている人がいるようです。
こういう人が他人の嫉妬を買ってしまうのは当然でしょう
④ “存在感”のある人
年齢、性別に関係なく、なぜか惹かれる、どうしてもその人に目が奪われる、そんな“存在感”のある人がいます。
そのような天性の魅力を備えた人は、何かと目立つため、変に特別視されたり、揉め事に巻き込まれたりしてしまう場合があります。
他人から嫉妬されないための2つのテクニック
上に挙げたようなタイプにならないよう注意すれば、他人の嫉妬から身を守ることができるのですが、具体的にどうすればいいのか難しいところです。
ですので、ここからは、他人から嫉妬されないためのテクニックを2つご紹介しましょう。
① 褒められたら「運がよかっただけです」と返す
これほど簡単なテクニックはありません。
しかも、多くの有名人や実力者が使っているテクニックでもあります。
(もちろん本心から言っている場合も多いでしょう。)
褒められたり、感嘆されたりした時に、
と言って、「実力」ではなく、「運」という自分ではコントロールできない偶然の出来事にしてしまうのです。
そうすれば、こちらへ向かってきそうな嫉妬の矢を、方向転換させることができます。
合わせて、
私の力なんて大したものじゃないですよ。
みなさんのおかげです。
とか、
というように、謙虚な姿勢で、他力への感謝を示すことも、他人の嫉妬から自分の身を守るために、とても有効です。
② 苦労話や自虐ネタを上手に使う
嫉妬されたり、もしかしたら嫉妬されるかもと感じたときには、
「こんなことで苦労した」
「こんな失敗があった」
「こんなことにつまずいた」
など、自分から弱いところを見せてしまうと、あなたの人間臭さが伝わり、
と相手に疎外感を与えずに済むようになります。
さらにより高度なテクニックとして、成功談に自虐ネタ(自虐ジョーク)を混ぜて笑いを取るところまでいくと、相手はもう完全に嫉妬することを忘れてしまうでしょう。
例えば、
という感じです。
成功談とセットにならなくても、自虐ジョークは、多くの場面で好感度アップに効果的です。
他人に嫉妬しない方法
他人に嫉妬しないための2つのテクニック
他人から嫉妬されない方法を覚えたら、次は、自分自身が他人に嫉妬されないようにも気をつけなくてはなりません。
他人に嫉妬しないためのテクニックを2つ紹介しましょう。
① 決めつける前に尋ねてみる!
嫉妬というのは、たいがい憶測や思い込みなどの決めつけなどから生まれるものです。
ですから、「きっとこうに違いない……」と思わず、嫉妬してしまいそうな時には、その場でいっそ事実確認をしてみるといいでしょう。
例えば、こんな感じです。
❌ よく旅行に出かけてますね。 (きっとお金に余裕があるに違いない……。) |
▶︎ ⭕️ 旅行がお好きなんですか? |
❌ 肌がとってもきれい。化粧品代がかかりそうですね。 (きっとお金をかけてるに違いない……。) |
▶︎ ⭕️ 肌がとってもきれい。どんなお手入れをされているんですか? |
このような一言で、会話の雰囲気も、人間関係もガラッと変わります。
事実確認をしてみると、自分が想像していたのと全然違う答えが返ってくる可能性が大いにあります。
決めつけて言ってしまった言葉は、取り返しがつきません。
『決めつける前に尋ねてみる』……これを意識するだけで、相手とのコミュニケーションの世界がぐんと広がるはずです。
② いっそ自分もチャレンジしてみる!
自分の中に嫉妬の感情が芽生えそうになっているのを感じたら、そのエネルギーをメラメラの燃料にするのではなく、行動を起こすための燃料にしてみるようにしてください。
例えば、女性らしい華やかな服装をしている人に嫉妬しそうな自分を感じたら、自分もそのような格好をしてみるのです。
どう踏み出していいか分からなければ、相手に直接、「どんなところで買ってるんですか?」と聞いてみればいいでしょう。
きっと、喜んで答えてくれるでしょう。
そうすれば、嫉妬の感情が芽生えるたびに、新しい自分に出会えるチャンスになるし、当然、周囲との人間関係も好転します。
嫉妬心はプラスに変えられる!
――いかがだったでしょうか?
ここまで見てきて分かるように、基本的に、嫉妬というのは、自分が満たされていない時や、自分に自信がない時に生じます。
あなたが、誰かから嫉妬されているとしたら、その人はきっと、満たされない毎日を送っているのでしょう。
また、あなたが、誰かに嫉妬しているとしたら、あなたはきっと、満たされない毎日を送っているに違いありません。
ですから、「嫉妬心」はある意味、“自分への信頼心”が薄れているシグナルと言うこともできます。
人は、誰だって、嫉妬から逃れられません。
肝心なのは、その「嫉妬」を「プラスのエネルギー」に変えられるかどうかです。
嫉妬心を抱いたら、自分が目標を達成する上での動機や原動力に変えてしまえばいいのです。
どうしても他人と自分を比較することを止めることができなかったら、いろんな物差しで測ってみればいいのです。
人とは違う自分らしさで勝負すればいいのです。
嫉妬されたら、それだけ相手に認められたのだと光栄に感じながらも、それ以上焚きつけないよう注意すればいいのです。
できる限り、他人からの嫉妬を避け、自分の嫉妬心は上手に利用してしまうようにしましょう。