“自分探し”という言葉を聞くと、「そうそう、興味ある!」と身を乗り出す人もいれば、「まーた、くだらないこと言って……」と鼻で笑う人もいます。
しかし、「どうしてこんな時、自分は、こうなんだろう……?」といった気持ちに、なったことがない人は、おそらくいないのではないのでしょうか?
自覚できていようがいまいが、“本当の自分”を押し込めて日々を暮らしている人は、実際、数多くいるのです。
というわけで、ここでは、
本当の自分が分からなくなってしまった3つの原因
について解説します。
目次
本当の自分を探すより、根本的な原因を探ろう
“本当の自分”というものが、あるのか、ないのか?というのは、実は、大きな問題ではありません。
人が、
と思う時、それは、“本来の自分”が抑圧されていると感じた証拠です。
つまり、あなたが元々持っていたはずの特性が、何らかの原因で、押し込められ、表に出せずにいるのです。
ですから、
ということよりも、
という“原因の部分”に目を向けたほうがよいでしょう。
“押し込めてしまっている”から、“分からない”と感じるのです。
このように、あなたが本当の自分を押し込めてしまうのは、
基本的に3つの原因があります。
考えられる3つの原因
①あなた自身に安心感が足りない
あなたは元々、自己主張の強い女性だったかも知れません。
しかし、母親が自己主張をするたびに、父親から拒絶されている姿を見て育ったために、生まれながらの自己主張力を押さえつけるようになってしまった可能性があります。
(ちなみに、「自己主張」は男らしさを示す資質のひとつです。)
また、あなたが、もし男性ならば、母親が父親を避けている姿を、よく目にしていたということはないでしょうか?
そうした環境で育つと、あなたは自分の男らしい特質(自己主張する力)の多くを押さえつけるようになってしまっている可能性があります。
何も家庭だけに限らず、小さい頃、学校で本来の自分を出したら、嫌われてしまったために、それ以来、自分を出すことを押さえつけるようになってしまった、という人もいるでしょう。
これらはどれも、ありのままの自分を発達させていくことに対して、安心感が持てなかったということです。
そして今も、「本来の自分を出すべきではない」(出すと損する、出すと自分に危険が及ぶ)という意識に囚われているのです。
②あなたが苦痛を乗り越えるための支えがない
あなたが昔、子供の頃、友達をつくろうとして自己主張し、拒絶され、その結果、深く傷ついたとします。
こんな時は、
君は正常だよ。
そのままの君でも、ちゃんと友達はつくれるはずだよ。
と、誰かに安心させてもらうことが必要でした。
しかし、両親を含め、誰もあなたの心の痛みを聞いてくれなかったために、あなたは、
私には、友達なんていらない!
私は、他の子供より優れているんだ!
と自分に言い聞かせざるを得ませんでした。
そのため、あなたはそれ以来、自己主張する力が弱くなってしまった可能性があります。
私たちの心は、本来の自分を出して否定されると、苦痛を覚えます。
そしてさらに、その苦痛が誰からも理解されないとなると、いったん苦痛と結びついた「本来の自分らしさ」を、その痛みが癒されるまで、ずっと押さえつけるようになってしまいます。
③あなたが発達していくための手本がなかった
あなたの母親が自分を愛していなかったり、父親が母親を愛していなかったとすれば、あなたは、
と感じるようになる可能性が高いです。
同様に、父親が自分を愛していなかったり、母親が父親を愛していなかったりすると、あなたは、
と感じるようになってもおかしくありません。
(男であっても女であっても、女性的な面・男性的な面の両方があります。)
人が本来持っている女性的な面・男性的な面を同時に発達させていくためには、うまくいっている手本(実例)を見たり、体験したりする必要があります。
それがないために、あなたは今も、「あなたが持っている本来の特質」を発達させられずにいるのです。
どの原因も子供の時に作られている
――3つの原因をご覧になり、いかがだったでしょうか?
いずれかが当てはまる、もしくは、すべて当てはまったという方もいるのではないでしょうか?
とか、
と、ただ嘆くより、こうして、「何が本来の自分を押し込めてしまっているか?」といった原因を探り、その傷を癒すように努めたほうが、人生への不安や、自分への不信を、取り除くことができるでしょう。
そして、その多くは、上に示したように、
両親の態度、子供の頃の環境
に由来します。
男の子が、自分の父親や、それに代わる肯定的で、たくましい男性のモデルを知らなかったら、自分の「男性的な面」も見出すことができません。
女の子が、男性や世の中と前向きに愛情を持って関わる母の姿を見ることができないと、「女性的な面」を発達させることが難しくなります。
子供の時というのは、非常に感受性が強いもの。
その感情が癒されなければ、一生消えない無意識の思い込みが形成されてしまうのです。
「心の中の子供」を慰める方法
では、こうした古傷を癒すにはどうしたらいいのでしょうか?
子供の時に心の傷を負ってしまったら、一生それを抱えて生きるしかないのでしょうか?
そんなことはありません。
そのための大事なキーワードこそ、「心の中の子供」です。
実は、子供の時にできた心の傷を癒すのに、とてもいい方法があります。
自分への不信が強かったり、「自分が求めている愛情は、誰からも得られないじゃないか?」という不安に襲われたりした時には、ぜひ、次のような言葉を胸に刻みましょう。
「私の中の少女(少年)」は、独りぼっちになることを怖がり、自分の面倒を自分で見られないことを、とても怖がっている。(←いったん認める)
……でも、大人になった今は、あの頃の無力な自分とは違う!(←過去を切り離す)
今の私には、自分に必要な愛情を手に入れる力が十分にあるし、自分の面倒はすべて自分で見るだけの力も十分にある!(←今と未来を肯定する)
「過去」を否定せず受け入れることで、それを「未来」を肯定する力にするのです。
不安に陥るたびに、この言葉を、自分へ言い聞かせたり、紙に書いて目のつきやすいところへ貼るなどするとよいでしょう。
よかったら試してみてください。