不倫は悪いことだと分かっていても、それによって表立った問題になっていない場合、「どうしてこれをわざわざやめる必要があるんだろう……?」と考え、一人で葛藤している人も少なくないでしょう。
ここでは、不倫というものをより深く考えるために、
現代人の不倫事情とその背景
について解説します。
浮気はもはや男だけのものではない!?
昔から「浮気」と言えば、男性のものと相場が決まっていました。
統計によれば、現代の男性が“不貞”を働く確率は、約50%、高収入層に限って言えば、何と60〜70%にものぼるそうです。
一方、女性の社会進出が進んだ影響か、女性が浮気をする確率もそれに追いついてきているようです。
アメリカの調査によると、1950年代では、「火遊びの経験あり」と回答した女性の割合は26%だったのが徐々に増えていき、1980年代の時点で、ついに2人に1人の割合となったことが確認されています。(1953年キンゼーリポート、1989年『ニューヨーク・ウーマン』より)
また、アメリカ国立科学財団による「総合社会調査」では、1998年と2008年を比べると、すべての年齢層で、浮気率が上がっており、フランスに至っては、女性の浮気率が男性を上回り、何と87%が、「現在または過去のパートナーを裏切った経験がある」と回答しています。
近年の日本の調査でも、浮気率において男女差はほとんどなく、男性33%、女性30%であったようです。
これらの結果から、ひとつ確実に言えるのは、今や女性も、男性並みに火遊びを楽しむ時代になっているということです。
不倫女性の心の声
女性たちは、そうした自らの情事について、たとえ同じ女であっても、語ろうとはしません。
自らの不倫をひた隠しにし、どうしたらいいか、何の答えも得られぬまま、行き場のない思いを持て余しているのです。
女性の社会進出を背景に、女性の不倫が増えたのは確かです。
しかし、彼女たちはそれによって、「女としての自由」を獲得したとは感じていません。
「人知れぬ恋」と言えば、一見、華やかでロマンチックなイメージもありますが、実際のところは、
彼に会うたびに、混乱は深まるばかり。
もう自分でもどうしたらいいか分からない……。
といったように、不倫女性の多くは悩み、苦しんでいます。
また、不倫をしていなくても、
夫を愛しているのに、どうして彼との関係を夢見てしまうのか、自分でも分からない……。
といった思いに苦しんでいる女性も、少なくないようです。
人はなぜ禁断の果実に触れたがるのか?
現代のような大量生産、大量消費の「消費社会」では、テレビをつけても、街を歩いても、ネットを見ても、いつだって広告の嵐。
現代人は、常に、欲望を掻き立てられる毎日を送っています。
ドラマや映画、ポップスなどでは、恋愛至上主義が横行し、そこに出てくる女性はみんな華やかで、恋(情事)を重ねるごとに、いっそう輝きを増すかのように描かれています。
おそらく、そのような“つくられたイメージ”が、知らず知らずのうちに心の中に忍び込み、不倫への好奇心を掻き立てているのでしょう。
有名人の不倫スキャンダルもまた、そうした“禁断の果実”への憧れを増幅させる役割を担っているでしょう。
(批判されながらも、やはり華やかに映るものです。)
さらには、何かトラブルが生じるために、特効薬を探そうとする現代人のせっかちさも、不倫へ誘引しているかも知れません。
結婚生活で何か問題が生じたら、別の男性に慰められるほうが、手っ取り早く感じるのです。
こうした不倫の誘因には、どれも、「自分さえよければいい」という、現代人の利己的な生き方があります。
言うなれば、
あの人はあんな風に生きている、いいなぁ、幸せそうだなぁ……。
でも、私にだって、私なりの幸せを掴む権利があるはず。
これくらいやったって、バチは当たらないでしょ……。
といった感じです。
不倫は、もはや男性だけのものでなくなりつつある今、女性は、不倫というものに対して、ただ後ろめたさだけでなく、
- 何が自分を不倫へと駆り立てたのか?
- それによって自分は何を感じているのか?
- 家庭生活とはどうあるべきなのか?
など、もっと自分の不倫の“本質”について考えていく必要があるかも知れません。
それは言うなれば、ただ不倫の悩みを解決すればいいというのではなく、その奥に抱えている本当の問題に取り組み、自分の生き方を根本から見直すきっかけにする、ということです。